ここから一番遠い海

夢日記,昔話

生き直そうと思えるような輝き

生きていくのがままならないくらいボロボロの時期、ワクワクする感情や、何かを心から楽しいと思う心の軽やかさがふっと身体の中から消えてしまった。

あんなに飲み会が好きで、ゲラゲラと笑ってくだらない話をしていた大学生だったのに。

人と会うことが怖く、古くから自分を知っている人や、自分のことを決して傷つけないような柔らかい言葉遣いの人、自分と同じようにボロボロになっている人以外と会うことができなかった。

傷ついたことなんて全部笑い飛ばしてきたぜ、というような朗らかな人の眩しさが凶器になるくらい、弱ってた。

 

そういう時に、星野道夫の写真集に載っている写真や谷川俊太郎の詩、道端の花や夕焼けや星や月といった音のない優しい柔らかな世界と共に、すっと私の心に寄り添ってくれて気持ちを癒してくれていたのが蒼井優ちゃんだった。

元来テレビもあまり見ないし芸能人にもそこまで興味がなかったけど、無償に蒼井優という女優さんの存在が心に染み入ってきて、彼女の写真集やエッセイなんかをネットで注文しては読み漁った。

生きなおそうと思わせてくれるようなまばゆい輝きが私にとっては蒼井優ちゃんでした。

蒼井優ちゃんが結婚した時、奇しくも蒼井優ちゃんのエッセイの隣にやまちゃんのエッセイが並べてあって、「よかったね、よかったね」と老婆のように呟いて泣いてしまった。あってこともない遠い人なのにこんなに喜ばしい気持ちになれるのが不思議だった。