どこか知らない小さな町のスーパーのサッカー台のそばで、その日の朝からリュックに入れていたペットボトルのいろはすを飲んでた。知らない街のスーパーの中で、生活感にあふれた装いの中年の女性囲まれると、ジーンズを履いてリュックを背負ってそこに立ってる自分がいかにもよそから来た若者、という感じでなんとなく居心地が悪い。誰かに言われたわけじゃないけど、なんとなく周りに「邪魔なところに立っているな」と思われてそうな気がする。
でも私はそこに立たなきゃならないのだ。何かを待っているから。
でも何を待っていたのかわからない。人ではなく何か出来事を待っていたのかもしれない。あるいは、時が過ぎていくのを待っていただけなのかもしれない。
サッカー台のそばにはマジックで書いたであろう「仏花」の文字とともに元気のない花たちが束にされてが売られている。その様子がまた、私の中のじっとりとした不快感を上昇させる。
壁にもたれながらぬるいいろはすをのどに流し込んでると、ドドドドと凄い勢いで片桐はいりがやってくる。
あなたの飲んでいるそのペットボトルの水は会計が済んだものなのかときつめに問いかけられて、これは他所のコンビニで買ったものだ、と答える。
片桐はいりに納得してもらえない。
コンビニで買った際のレシートを出せと言われる。
あるわけがない。私はそういう類をいつもレジ横のくぼみに置き去りにしている。
まいったなー、という気持ちと、疑われて不服な気持ちとでキツめの言葉を返していくと、なぜかスマートフォンの契約について小言が始まって、そんなんじゃ恋人との通話もままならないんじゃないの?みたいな、詮索混じりの色めきたった質問をされて、これで十分です、とムキになって言い返した。夢の中の私には恋人がいたような気がする。もしかしてその人を待っているのかな。だとしたら随分な待ちぼうけだ。
そんな辺りで目が覚めた。
私は何を待っていたんだろう。