ここから一番遠い海

夢日記,昔話

あれから・新しく恋人ができる

片思いをしていた男の子に振られてから、なんでか急にいろいろなことが回りだした。こんなにいろいろ簡単にがらりと変わってくれるんなら、失恋する前にそういう流れが来てほしかった。そうしてくれたら、日々のあわただしさの中で、あの恋心がおのずとしぼんで消えていった気がするのに。

 

いや、それは嘘。

 

あれは忙しさなんかじゃ消えない、しつこい熱病みたいなものだったから、やっぱりああやってかっこ悪く玉砕するという荒療治をしないといけなかった。玉砕したのが引き金になっていろいろと変わったんだ、きっと。でも、真っ向から好きと告白して「あなたに興味はない」と真っ向から冷たく振られるのってやっぱり、真っ向から傷つくことだった。

 

そうやって思い出を反芻しては真っ向から傷つく晩を何回か繰り返していると、1度会ったきりの、全然別の、色白で細身で静かな声で優しそうに笑う4つ年下の男の子から連絡がきて二人でご飯に行くことになった。好きだった男の子に片思いしていた2年近く、浮いた話がぜんぜんなかったのに、急にアラサー向け漫画みたいな都合のいい展開になってキツネにつままれたみたいだった。小さいころのかなり特殊な経験を相手も同様にしていたりして、なんだか仕組まれたドラマのあらすじみたいだった。その人は何も悪くないのに、居心地が悪くてつかれた。

 

それからまた2週間、泣いたり悶々としたりして過ごしたていると、日に焼けて頬がふっくらとした、子供みたいな無邪気さをもった2つ年上の男の人と知り合った。よく話があって、気づいたら2人で出かける約束をしていた。出かける約束をするまでの過程で、男女間の駆け引きをしているとき特有の、計算じみた思考が片時も頭にかすめなかった。小学生の時「(放課後)いつもの公園で!」って友達と声を掛け合っていたみたいにどっちがどういうタイミングで何を言ったかよくわからないくらいに自然に2人でデートに行った。そうやって放課後の公園みたいな無邪気な時間を2度ほど繰り返した夜、意を決した相手が交際を促してちょうど3年ぶりくらいに恋人ができた。

 

片思いしていた男の子とご飯に行く約束をこぎつけるのに1年以上かかったのが信じられないくらい、トントンと拍子をとる音がしそうなくらいだった。好きだった男の子に片思いしていた最中、「うまくいくときはうまくいくし、うまくいかないときはうまくいかない」ってよく頭の中で唱えていたけど、それってやっぱり本当だったなって思ったりした。

 

なんか嫌な書き方になってしまったけど、今付き合っている恋人はやっぱりとてもいい人だし、うまくいくって心地よい。きれいな和音が、来るべきタイミングで響き続いている感じがする。