ここから一番遠い海

夢日記,昔話

「誰かが残らなきゃならない」

朝ドラを見るのがきつい.
地元を離れて頑張る姉に、妹がじっとりとした視線を送るあたりからちょっときつかった.
今朝、はっきりと「ずるい」となじるシーンが出て来てもうギブアップ.

 

かつて親友だった女の子を思い出して苦しくなるのだ.
彼女も私も二人とも頭が良くて、周りの大人によく褒められた.
読んでいる漫画や小説も同じで、通っている塾も一緒だった.
ちょっと大人びて斜に構えた感じが、同世代の女の子たちから一層自分たちを浮かせてしまい、でもそのおかげでさらに仲良くなった.

私が地元を離れたのは、理解のある両親、勉学に励みたい気持ちを尊重してくれる周りの大人、そういう恵まれた環境が整っていたのに加えて、「地元を出たい」という強い意志があったからだ.

彼女が地元に残ったのに、たぶん強い意志や明確な理由はない.
彼女の親御さんは保守的だったし、実家のそばに住んでいればお金もたまりやすいというようなことを言っていたし、何より地元が良い場所だと感じていたんだと思う.

ずっと仲の良い親友同士だったはずなのに、いつごろからか彼女が私に、あの「じっとりとした視線」を向けてきた.
言葉の端々に、「地元を出られたあなたはいいよね」というような、ひりつく感情を覚える.

 

「誰かが残らなきゃならないんだから」
と朝ドラでは言っていたけど本当にそうなんだろうか.

そうやって縛り付けられた人たちから送られるじっとりしたまなざしを感じるたびに

「そのまなざしをこちらに向けないでくれ」と思う.

 

でも私は彼らがまなざしを向けるべき矛先がどこなのか知らない