ここから一番遠い海

夢日記,昔話

ワンクール終わった

以前好きだったその男の子と職場が一緒なので顔を合わさないわけにはいかない日々が続いている。彼には告白してしっかり振られた。わざわざ「わたし、もう好きな人が別にいて付き合っていて互いの家族にも紹介しあっているんです」と報告するのもおかしな話なので、そんなことしない。相手の男の子にとってわたしは、「自分に思いを寄せてきた職場の先輩(独身・30代・こっぴどく振り済み)」という気持ちの悪い属性でしかないのだろうと日々うっすらと申し訳なかった。

 

しかし私のそういった思いをよそに、年下の男の子はよく私に話しかけてきた。相変わらず休憩をしていると合わせて休憩に入ってくるし、黙って茶をすすっていたいときにも熱心にこちらに話しかけてくる。一度夜遅くまで働いていたときには車で家まで送ろうか、とまで申し出られた。フラれる前に同じ状況になったとき、そういう言葉はとんと出てこなかったのに。

 

そういう彼のよくわからない行動の増加と反比例して私の中での彼に対する執着はすっかり消え去っていた。私のことを大切にしてくれる年上の恋人ができたのもあるし、「あなたのことは女性としてみていないししばらく彼女を作るつもりもない」とかなりひどい言葉できっぱりフラれたのもある。

いろいろなことがどんどん思い出になりつつあったのに、先週の飲み会で、彼に恋人が新しくできた、という話を聞いて突然その男の子に対してあった人としての親愛の情が掻き消えてしまった。カードをぽんとひっくり返したみたいに、嫌悪感が生まれた。

 

「あと数年は彼女を作るつもりはない」と言っていた1か月後にマッチングアプリをインストールして出会った年上のOLと恋人同士になったらしい。私が隣の席にいるのに気づいたとたん、「友人の紹介で出会った」と事実と違ういきさつを話しだしたし、「恋人がいる」と私の前でばらされたことに明らかに狼狽していた。

 

なんだか気分が悪かった。相手に未練があるからとかじゃない。

その気がない相手に告白されるのってかなりいやな体験だと私も知っている。だから、告白するとき、神に誓って脅したり身体的に接触したり、追い詰めるような言葉遣いもしなかった。

そういう相手に「異性としてみていない」と必要以上に強く、傷つけかねない言葉遣いをし、「あと数年恋人を作るつもりもない」とカッコつける必要があったんだろうか。そうやって斜に構えているわりに、私からの好意を損ねないように思わせぶりな対応だけしっかり続けてくる。

私に好意を寄せられていること、その好意を嘘や必要以上にキツい言葉ではねつけることに少なからず優越感を感じていた・いるんだと急にわかって、相手のことが嫌いになってしまった。

 

恋のワンクールが終わった。

 

心の中が冷めきってしまって「どうしてこんな人を好きになったんだろう」という気持ちにすらなってしまう。あんなに恋焦がれて夜眠れなかったりしたのに。

やっぱり片思いって幻想で、頭の中で勝手に繰り広げられる誤解と妄想で頭がマヒしているだけなのかもしれない。

 

今はただ自分のことを大切にしてくれる恋人のことを大切にしよう。