ここから一番遠い海

夢日記,昔話

非圧縮性ハンバーガー

なんの前触れもなく特定の「何か」を猛烈に食べたくなることがたまにある。帰宅の路に着くずっと前からその食べ物の味やかみごたえ、鼻に抜ける香りや、舌触りを反芻してしまう。

 

今回はハンバーガー。

好きなものを食べたいという朗らかさじゃなく、湧き立つ得体の知れない衝動・暴力的な姿勢で、黙々とバンズをトーストし、玉ねぎをソテーし、チーズを溶かし、パテに火を通し、ハインツのケチャップを用意していく。

 

外じゃお腹に収まるか心配で絶対に注文できないサイズの鉛直方向にデカいダブルチーズバーガーが出来上がると、これでもかとバンズの上から押しつぶす。

こうやってハンバーガーを平くして食べるのがマナーなんだとアメリカに行った時習った。

平くすることで自然、大きく口を開ける必要がなくなり食べやすくなるんだけど、私が作り上げたダブルチーズバーガーは押したところで全く厚みが変わらない。非圧縮性を有するようです。

 

溶けかかったチーズと粗めの挽肉で作られたパテとケチャップと玉ねぎの香ばしさに幸せな気分になる。

なんで今回ハンバーガーだったんだろかなあ、と、小休止の最中ぼんやり考えてみると、直近でハンバーガーを食べた記憶の中に好きな男の子が現れてきた。

 

好きな人の前でハンバーガーを食べるなんて絶対避けて通りたいと割と常々思っていたのにのっぴきならない状況で、そうなってしまった。

いつもより何倍も力を込めて、ハンバーガーを圧縮させて平くし、お上品にひとくちふたくと食べ進めたんだよな。

 

きっとあれの反動だな。

 

1人で食べる、平くないハンバーガーはうまい。肉やチーズを食べたい、というよりかは、この、非圧縮性に立ち向かうというエンタメを享受したいんだよ、私は。